NewDaysが完全セルフレジ店舗を導入。Suicaも駅ナカもこれを目指していた!
JR武蔵境駅ビルnonowaにNewDays初のセルフレジ専用キャッシュレス無人店舗が開業しました。今後も同様の店舗拡大を進める予定があるようで、その背景を考察してみました。
参考:https://www.jreast.co.jp/press/2019/20190723_ho01.pdf
- 支払いはSuica等かクレジットカードのみ
- 目の前の改札もSuica専用、チャージ機もあり
- デメリットを補う反対側出口のNewDays親店舗
- カウンターも控室もバックヤードも廃して売り場面積率最大化
- コンビニ専業にはできない鉄道屋ならではの工夫
1.支払いはSuica等かクレジットカードのみ
既に多くの店舗で積極的にセルフレジを導入しているNewDaysですが、従来は有人レジの隣に併設されていました。支払いはSuica等交通ICカードに限られ現金での支払いは出来ません(一部店舗でクレジットカード対応端末あり)。
この武蔵境nonowa口店では2台のセルフレジが用意されているだけで店員のいるスペースがありません。当然使い方は他店のセルフレジと同じで商品バーコードをスキャン→支払い方法を選択→Suicaをかざすかカードを読み込むの3ステップです。
それゆえにお酒やたばこ等は販売せず、クーポンの利用や収納代行サービス等は取り扱っていません。
2.目の前の改札もSuica専用、チャージ機もあり
この新店舗が改札直結の駅ビルnonowaにあるのがポイントです。この改札はSuica等のICカード専用で、紙のきっぷには対応していません。駅員も配置されず券売機もありません。1000円札チャージ機とインターホンが改札内外にあるだけです。
JRに限らず大手私鉄でも見かける駅ビル直結の改札にはこのように券売機や駅事務室を廃した省スペース型のものが散見されます。多くが通勤通学など日常的に出入りしており、きっぷ購入や案内などが必要ないと想定されるからです。
3.デメリットを補う反対側出口のNewDays親店舗
こうしたキャッシュレスによる無人店舗は各所で試みられ、JRも過去に実験店舗を置いていたことがあります。
参照:JR赤羽駅で試験営業の無人コンビニが整理券配布の大行列に!相当な難産だがその期待も大きい(2018年10月~12月)
但し本格的な導入には、
- 在庫管理をどうするか
- 商品が多すぎればより複雑化し少なければ店としての魅力がない
- カメラ認証を含めた高度なモニタリングシステム
- 現金での支払いを希望する顧客への対応
- その他人手が必要になった場合の対応
等々課題が多かったのも事実です。その解決策は駅にもう一つある別のNewDaysがカギでした。
NewDaysは武蔵境駅でメインとなる中央改札口外側にもあります。こちらはかなりの大型店舗で市中のコンビニ同様にお弁当の販売やATM、収納代行サービスもあります。もちろんこちら側の改札には駅員も配置され券売機もあります。
位置関係を図で見るとこんな感じ。駅事務室のある中央改札口と無人のnonowa口はいわば親子関係にあると言えます。となればNewDaysも面積が広い中央改札の「親店舗」に店員と在庫を一括配置して、必要に応じて無人のnonowa口にある「子店舗」に振り分ける方式をとっていることは想像に難くありません。
4.カウンターも控室もバックヤードも廃して売り場面積率最大化
無人店舗にはもう一つメリットがあって店員がいない故に店員のためのスペースも要らない点につきます。レジ係の立つスペースも事務作業や休憩のための控室も、在庫を抱えておくバックヤードもありません。
公式プレスによると店舗面積は25㎡、わずか5m四方しかありません。売り場面積はその7割以上を占めることになります。
ちなみにセブンイレブンやローソンの出店募集ページを見ると、店舗面積は市中の一般店で40坪(132㎡)以上、大型施設内の小型店舗ですら20坪(66㎡)以上が求められており、NewDaysがいかにコンパクトかが解ります。
5.コンビニ専業にはできない鉄道屋ならではの工夫
鉄道ではSuicaが普及したことによって券売機や窓口がさほど必要なくなり、その余剰スペースから商業施設に転換していく傾向にありました。またSuica自体が発券・改札業務の迅速化を目指したものであり、駅ナカもスペースや乗客の流れありきで進化を遂げています。
一方コンビニは既存店含め基本的には店舗面積は変わることなく、その一方で宅配便、ホットスナック類、収納代行、ポイントカード等、店員の業務ばかりが増えていく一方。むしろ近年は駐車場やイートインコーナー等のニーズから全体の面積は拡大傾向にあるかもしれません。
またコンビニはその多くがフランチャイズ方式であり、同じブランドであっても経営上はライバル。それが結果的に過剰在庫や人手不足といった問題を引き起こしているのも事実です。
この点NewDaysは実質JR直営。本業の鉄道と同様に省スペース化や流れの迅速化にこだわっているのも、ある意味必然的と言えます。