モバイルsuicaが完全無料化へ!他社クレジットカードやGooglePayと三つ巴に
モバイルsuicaが2020年2月26日より年会費を廃止し完全無料化されました。ビューカード以外のクレジットカードで登録しても年会費が掛からないことになります。
- ビューカードでは当面無料としていたが…
- 他社クレジットカードからも利用が容易に
- 開発費回収より「決済プラットフォーム」普及を選んだ
- Apple PayやGoogle Payと併せて普及を目論む
- ポイント対象外のカードには注意
1.ビューカードでは当面無料としていたが…
モバイルsuicaは2006年1月のサービス開始当初から1000円(2014年4月から1030円)の年会費を必要としており、ビューカードを登録した場合当面の間無料という措置をとっていました。
この表現から察するにビューカードでも将来的には年会費を徴収することも計画としてあったのではとも思えてきます。
しかし2019年春になって一転し、ビューカード以外を登録した場合も年会費を徴収しないよう方針転換したようです。
2.他社クレジットカードからも利用が容易に
クレジットカードは日々の買い物から水光熱費などの毎月払い、オンラインショッピングから月会費制のサブスクリプションサービスにいたるまで今やその重要性は増す一方です。
そうなれば電車賃も一緒に決済したいがカード対応の券売機はほとんどなく、モバイルSuicaの為に年会費を払うか、新たに交通費用にビューカードを作るかで迷った利用者は少なくないはずです。
2020年2月26日のアップデートはビューカード以外をメインカードにしている利用者には朗報と言えます。一方ビューカードはその優位性が無くなることから、多くのクレジットカードとJR以外での「場外バトル」に巻き込まれることになります。
3.開発費回収より「決済プラットフォーム」普及を選んだ
これまで10年以上にわたりビューカード以外で年会費を徴収していましたが、なぜここに来て無料化に踏み切ったのかという疑問も湧きます。ちなみにカード式Suicaも原則デポジットとして発行に別途500円が必要です。
年会費やデポジットはアプリや決済システムの開発費用を補填するために必要だったと推測されますが、それを十分回収できたからなのか、あるいはモバイルSuicaをより普及させたいという狙いもあるのかもしれません。
モバイルSuicaは対応機種が限られるという欠点がありますが、近年はiPhoneをはじめ人気機種でも採用例が増えており、SIMフリー端末でも使えるようになり、そのハードルは低くなりつつあります。
4.Apple PayやGoogle Payと併せて普及を目論む

2018年7月発表の「変革2027」より。
JR東日本はSuicaを移動、購入、決済のためのプラットフォームとして位置付けており、発行枚数や決済頻度を増やしたいという目論見があるようです。
一方2016年10月にはApple Pay、2018年6月にはGoogle PayがSuicaに対応し、どちらも対応機種であれば年会費不要で利用できることから、モバイルSuicaで年会費を徴収すること自体が合理的でなくなったという側面もあります。
Suicaを決済プラットフォームとして成長させる上では、Apple PayやGoogle Payもライバルと言うよりは味方につけたいはずです。
これまでビューカード+モバイルSuicaが最も機能が多く年会費の少ない「王道の組み合わせ」でしたが、少なくともJR東日本サイドはビューカード以外のクレジットカード、Apple Pay、GooglePayどのユーザーもまとめて歓迎する方向に入ったといえます。
5.ポイント対象外のカードには注意
一方クレジットカード会社サイドではモバイルSuica等電子マネーへのチャージをポイント対象外としているケースが多くあります。
例えば株式会社ジェーシービーのOki Dokiポイントや三井住友カードのワールドプレゼントポイント、アメリカン・エキスプレスのメンバーシップ・リワード等が該当します。
これも以前はカードの決済機会が減ることやセキュリティの問題からカード各社は電子マネーチャージに否定的だったようですが、近年はApple PayやGoogle Pay等のアカウント決済を推進する傾向に変わりました。
Apple PayやGoogle Payは物理的にカードを盗られない点や、支払先にカード情報が渡らない点など安全性が高いことも背景にあります。
モバイルSuicaも初期にはカード番号と有効期限の入力だけで登録・チャージができたことから不正利用が横行したことがありましたが、年々カード登録手続きがより安全な仕様に変わりつつあります。
今回のモバイルSuica無料化でカード各社にもポイント付与ルール等に変化があるかもしれません。