JRE POINTが遂に陸のマイルに。乗車でもポイントを貯めて特典乗車券でグランクラスに?
かねてより注目していたJRE POINTがついに「陸のマイル」に化けるようです。従来主に駅ナカでポイントが付与されていましたが、2019年10月からはJR東日本在来線乗車分や首都圏普通列車グリーン券でもポイントを付与するよう方針を改めました。
参考:https://www.jreast.co.jp/press/2019/20190903_ho01.pdf
2年ほど前のJRE POINTの将来に関しての投稿。予想が見事に的中したようです。
参照:JRE POINTは陸のマイルになるのか?オワコン一直線か?でも今後に期待
- JR東日本在来線と首都圏普通列車グリーン券が対象
- カードで0.5%、モバイルSuicaで2%のJRE POINT付与
- 私鉄やJR他社乗車分は対象外
- PASMOに同様の制度はほぼないのでSuica有利に
- 回数券のように繰り返し乗車でJRE POINT還元【2020年12月から】
- 紙のきっぷ購入は対象外?えきねっと予約ではJRE POINT還元【2021年春から】
- 新幹線や特急列車の「特典チケット」や「アップグレード」も【2021年春から】
1.JR東日本在来線と首都圏普通列車グリーン券が対象
これまでSuicaによる鉄道乗車でポイントを貯めることは出来ず、あくまで駅ナカの買い物やビューカードの決済で貯めていただけでした。これが
- JR東日本の在来線でのSuica乗車(定期券区間外)
- 首都圏普通列車グリーン券購入
- モバイルSuicaでの定期券購入
- タッチでGO!新幹線
の利用額に応じてJRE POINTが貯まるようになるそうです。ポイントはチャージではなく運賃差し引きのある場合と定期券・グリーン券購入の場合に貯まるようです。
但しJRE POINTアカウントはSuicaを持てば自動的に付随するものではなく、別途登録が必要です。また個人情報登録のない券売機で購入しただけの無記名Suica、イベント用の限定デザインSuicaは登録できないので注意。
2.カードで0.5%、モバイルSuicaで2%のJRE POINT付与
もう一つ注目したいのは還元率。カード型Suicaでは0.5%還元に留まる一方モバイルSuicaは2%還元、200円以下でも最低1ポイントは付与されます。ここに来てモバイル推しが一気に強まりました。現時点ではモバイルSuicaのみのようですがカード式Suicaを飲み込んで登録するApplePayのSuicaも同様の恩恵を受けるのでしょうか?

公式プレスで示されたポイント付与例。JR東日本区間があれば初乗りでも最低1ポイント付与される。
1000円を超える長距離だと紙のきっぷよりIC運賃が高いケースが多かったのですが、ポイント還元それもモバイルSuicaで20円も入るので悪くありません。
3.私鉄やJR他社乗車分は対象外
既に10年以上前からSuicaは東京近郊の私鉄やバスを扱うPASMO、JR西日本エリアのICOCA等と「相互乗り入れ」を実施してきましたが今回のJRE POINT付与はあくまでJR東日本路線に限られるようです。
4.PASMOに同様の制度はほぼないのでSuica有利に
首都圏エリアでユーザーをほぼ二分するSuicaとPASMOですが、PASMOも対抗してこのような制度を導入する動きはないようです。というのもPASMO自体に乗車ポイント制度が無いからです。
ごく少数の例外は東京メトロToMeカードの「メトロポイント」と東急カードの「のるる」で、ともに自社発行のクレジットカード紐づけのPASMOで自社路線乗車分しか利用できないかなり限定的なサービスに過ぎません。
はっきり言って私鉄沿線ユーザーでもJRに乗るorJRの駅ナカを使う可能性があるならSuicaが有利なのは間違いないです。
5.回数券のように繰り返し乗車でJRE POINT還元【2020年12月から】
これと同様にいくつかのポイント還元サービスも発表されました。まずは現行の回数券のように同じ区間を一定回数以上乗ると1乗車分のJRE POINTが付与されるというもの。既に関西地区では一部鉄道事業者で導入されていますが、どのような内容かはまだ発表されていません。
関東地区でも東京メトロ等のように回数券にも「終日」「オフピーク」「土休日」と利用期間が狭く割引率も高い回数券を数種類用意するところもありますが、JR東日本に限っては10枚分の値段で11枚綴りの終日利用型のみ、それも発売個所を指定席券売機のみと絞っています。
JRが新路線や新駅開業など施設工事を伴うもの以外のサービスを1年以上前から告知するのは極めて異例です。定期券の利用開始のピークは新年度の4月なので、12月スタートというのもそれなりの仕組みを備えたものと期待してしまいます。
6.紙のきっぷ購入は対象外?えきねっと予約ではJRE POINT還元【2021年春から】
当然Suica乗車でのJRE POINT付与は券売機で紙のきっぷを買った場合は対象外です。しかし一方で同時にえきねっとでの予約にも「利用額に応じてポイント還元」、そして「現行えきねっとポイントをJRE POINTに統合」も発表されています。
つまり新幹線や特急をネットで予約した場合は紙のきっぷでもJRE POINTが貯まると考えてよさそうです。但し新幹線に関しては同時期にネット予約情報をSuicaに移して改札を通るチケットレス化も発表されています。
参照:新幹線はネット予約→suicaインストールが2020年代のスタンダードに。やっと新幹線が時代に追いつく!
えきねっとポイントが長らくJRE POINTと統合できなかった背景には、えきねっとが複数人予約ができることや、JR東日本以外の路線も予約できる(JR北海道の特急や北陸新幹線のJR西日本区間等)ことが挙げられます。確かに今後の扱いが気になります。
7.新幹線や特急列車の「特典チケット」や「アップグレード」も【2021年春から】

公式プレスに示されたグリーン車やグランクラスへの「アップグレード」と、新幹線や在来線特急に乗れる「特典チケット」
今回のJRE POINT制度改変の大きな目玉はここだ!といっても過言ではないでしょう。2021年春以降とまだまだ先ですが航空マイレージと同様に「特典乗車券」「アップグレード」を導入するとのことです。
続編記事:えきねっとが2021年夏に大幅刷新でクレジットカード不要に。若年層獲得とカラ予約対策そして特典チケットへの布石。
航空マイレージは一定数貯めるといわゆる「特典航空券」に交換して無料で搭乗できるもので、日本の航空会社ではJAL、ANA、スターフライヤー、エアドゥ、ソラシドエアの5社が導入しています。これの鉄道版「特典乗車券」ということですが新幹線は乗車券+特急券での利用が原則となるのでJR東日本は「特典チケット」という表現をしています。
しかも年会費が高額なクレジットカードに入会するか長距離国際線でも乗らない限り特典航空券に交換できるほどのマイルはたまらない航空マイレージにくらべるとはるかに現実的です。
- モバイルSuicaなら乗車2%還元
- モバイルSuicaの年会費は廃止
- ビューカードからのチャージは1.5%
- つまりビューカード→モバイルSuica乗車で3.5%
- 利用実績があればJRE POINT有効期限なし
JRE POINTの前身Suicaポイントクラブは正直魅力の乏しいサービスでした。貯まる店が少なく還元率も悪く、ポイントの使いみちもSuicaチャージくらいしかなかったからです。
ところがここにきて日頃の通勤通学や買い物でポイント貯めてタダで新幹線に乗っちゃおう!という大胆な策に舵を切ったようです。
背景としては新幹線の高速化やグランクラスの導入に見るように、列車だけでなくポイントプログラムにおいても明確に航空会社をライバルに捉えたということです。航空会社と同様にJR東日本にも採算の取れないローカル線を数多く抱えていますから、顧客の継続的な囲い込みと需要喚起が必要だと判断したのでしょう。
陸のマイルを目指すJRE POINTの今後の展開が楽しみです。
公共交通にも価格、サービス、そしてポイント競争が押し寄せる
ポイント対象はキャッシュレス、チケットレス、無人化がターゲット
キャッシュレス・消費者還元事業とは無関係。期間限定ではない模様。