航空会社がマイル上級会員を優遇する合理的すぎる理由
多くの航空会社がマイルプログラムを用意し、利用頻度に応じて会員にランクを与え格付けしていることは以前お話したと思います。タイトル写真は成田空港第1ターミナル南ウイングにある優先保安検査場ゴールドトラックです。
でもなんで上級会員制度ってあるんだろう、って言うかそもそも常連客ってそんなに偉いのか?という疑問を持ったことがあるかもしれません。私がこれまで色々な航空会社を利用した結果、上級会員制度はいたって合理的なシステムだと言うことが分かりました。
なお各マイルプログラムの上級会員制度の具体的な内容については各航空会社のウェブサイト等を見てもらう方が良いです。
1.一般的な上級会員のメリット
多くの航空会社で一般会員とは別に3~5段階の上級会員ランクがあります。上のランクになるほど搭乗実績が必要でその分優先が多くなる仕組みです。
これはANAの上級会員制度の一例。一番最初のランクではフライトマイルボーナス(航空会社によるが一般会員の30~50%増し)、座席指定や空席待ち、受託手荷物容量が一般会員より優遇されます。また回数制限やマイル支払、本拠地の空港だけなどの条件付きですがエコノミークラス利用でもビジネスクラスラウンジが利用できます。
中くらいのランクになるとフライトマイルは一般会員のほぼ2倍もらえ、搭乗クラスや出発空港を問わず優先チェックインカウンター、優先保安検査レーン、優先搭乗、ビジネスクラスラウンジがいくらでも利用できるようになります(空港にその設備が無い場合は例外)。
一番上のランクになると座席指定や空席待ちは最優先され、ファーストクラス用のチェックインカウンターやラウンジも利用できるようになります。これらはあくまで一般論であり航空会社によって細かな違いがあり、特に最上級会員の特典はファーストクラス自体設定が無いor少ない航空会社もあるので隠された特典も多いといわれています。
初心者がぱっと見る限りでも、マイルが多くもらえることとラウンジが使えることはすごく魅力的です。マイルがたくさん貰えれば特典交換は一層近づくし、ラウンジは飲み物やWi-Fiが無料で使い放題、国際線なら食事もシャワーもあります。
一方、優先チェックインカウンター、優先保安検査レーン、優先搭乗というのは正直そこまで目立ったお得感はありません。むしろ混雑しているのに一般客が後回しになるなんて不条理だとさえ思うかもしれません。
2.優先チェックイン/保安検査がある理由
飛行機に乗るためにはチェックイン(搭乗手続き)と保安検査を受けなくてはなりません。JALやANAの国内線の場合二次元コードかICカード/スマホがあるので搭乗手続き自体面倒なことはありませんが、保安検査は混雑することが多く羽田空港や千歳空港は10分20分待ちは日常茶飯事です。一方優先保安検査レーンはほとんど混雑などありません。つまり上級会員ならこの10分20分を短縮できます。
ここで考えたいのが一般レーンはどうして混雑するのか?です。人が多いからというのもありますがレーンだって多いです。そのヒントは爆買いの聖地であり利用者数世界有数の香港国際空港にありました。保安検査場に優先レーンが無く、よく見れば飲み物を取り上げられていたり荷物をトレーに載せるのがぎこちない人がちらほら・・・再検査に回されるなどして時間が掛かっているようです。
チェックインがあっても同じです。預けれらない荷物、機内に持ち込めない荷物、規定のサイズや重量、搭乗券提示が必要な場所、よほどなれた乗客でないと全てを理解することは難しいです。飛行機が初めてあるいは数年ぶりという乗客と、毎月同じ路線に乗っている常連客、規定に引っかかりにくく荷物や搭乗券の出し入れがスムーズなのは圧倒的に後者でしょう。旅慣れた乗客ほどエラーリスクが小さいのです。
3.優先搭乗がないとこうなる
皆さんは飛行機でこんな経験がないでしょうか。
いざ機内に入ってみると、通路で人が立ち止まっていて「席はどこ?ここ?」みたいに揉めている。自分の席はもっと後ろなので先に行きたいが通れない。仕方なく自分も立ち止まると、次々に他の乗客が入ってきて列ができてしまった。
そういうこと。飛行機に乗りなれていなかったりグループで乗るとなると、自分の席が分からなかったり、同行者の誰がどこに座るかまでイメージできないというのはありがちです。だから一方的に彼らを責めるべきではありません。
しかし彼らのペースに合わせていては400人が15分で全員席に座ることは到底できません(この数と時間を考えると日本の国内線は凄い!)し、出発の遅れは到着の遅れにつながり、整備の遅れに繋がります。それが乗務員や整備士に焦りをもたらし、それはやがて取り返しの付かない事故の引き金になることもあり得ます。
そこで上級会員の出番です。彼らは多くの搭乗経験があり、一方で座席指定の選択肢も一般客より多く用意されています。またLCCが代表格ですが事前座席指定を有料化している航空会社もあります。他の乗客が選ぶのが困難な前方席や足元の広い席を選ぶこともできますし、わざわざお金を払って席を選びたいという人もいます。
彼らは概して座席配置に詳しく、乗り込めばすぐに自分の席を見つけて座ってくれるので先に入れた方が乗客全体の流れが良くなるのです。手荷物に関しても電車のように隣の席や通路をふさぐような置き方をしない可能性が高いです。
4.上級会員は航空会社の味方
つまるところそうです。たくさん飛行機に乗ってくれるのはたくさん運賃を払ってくれるわけだから経営的に味方なのはわかりやすいです。しかし既に述べたように運航面でも一連の流れをスムーズにしてくれる作業的にも味方なのです(そのはずです)。
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