カーシェアリングで自損事故をやってしまった話。正直な申告と自走の可否が今後に大きく影響します。
少し前ですが自損事故をやってしまった時の話。これはレンタカーやカーシェアに限らないことであり、また同じ事故は2つとないように、すべてのケースで適用される訳でもありませんが、適切な事後対応がその後に大きく影響してくることは確かです。
- 過失の有無を問わず「警察」と「運営会社」に申告
- 予約時間の心配は無用。以後の予約は運営が取り消す
- 破損具合を問わず自走できなればペナルティは重い
- 危険が及ばない限り脱出・帰還を諦めない
- 正直な申告があれば規定通りのペナルティだけで済む
- 但し2年以内の複数回事故は実費請求も
1.過失の有無を問わず「警察」と「運営会社」に申告
件の事故は2018年10月に千葉県某所で発生しました。タイムズカーシェアを利用中に国道から少し離れた農道に迷い込み、少し休憩しようと左寄せしようとしたら草むらに隠れていた側溝に脱輪…
ドカンという衝撃とともに左前輪が側溝にはまってしまいました。当然焦ります。
まずキーにも書かれた会員専用ダイヤルに連絡し事故の概要を正直に報告しました。会員番号を告げ生年月日や住所で本人確認をしたうえで、事故の概要、他者や負傷者がいないこと等を報告しました。事故の現場はGPSを使ってある程度把握しているようです。
結論を言うと脱輪したもののバックで脱出することができたので、「自走でステーションに戻れますか?」という質問には「戻れそうです」と答えました。
そして「警察に連絡したか?」を聞かれたので「まだです」と言うと警察にも連絡したうえで改めてコールバックしてほしいと告げられいったん切ります。

タイムズによる事故発生時の手順ページ。このように事故と言えるのかという軽微なものでも報告が必要です。車の修理は不要と判断されペナルティが課せられないケースもあり得ます。一方無申告で事故が発覚すれば会員資格取り消し等重い処分が待っています。
なのでまず110番通報→運営会社の会員専用ダイヤルで報告が正解です。110番通報はすぐつながる一方、民間のフリーダイヤルは繋がりにくい場合が多々あるからです。また警察は通報を受ければ現場へ来るので出動に時間を要するのも理由の一つです。
ただ現場の特定に関しては110番通報よりGPSで追尾している運営会社のほうが上だと実感。というのも不慣れな土地の畑の真ん中なんて住所もわからず、わかっても住居表示のある住宅が100m以上先という状態。カーナビの地図を見ながら付近の国道や水路、小学校等近くのランドマークから場所を伝えるということになりました。(地域や状態によっては警察でも発信中の携帯電話から大まかな位置を特定はできるようです)
その後警察立会いのもと事故証明を貰い、道路管理者である市にも補修が必要か警察から問い合わせるとのこと。改めて会員専用ダイヤルにも連絡し、自力走行で10㎞ほど離れたステーションに返却できました。
後日警察からも連絡があり、市としても道路設備の補修の必要はないので賠償請求もしないとのことでした。
いずれにせよ事故発生時には順番はどうあれ「警察」と「会員専用ダイヤル」双方への連絡が必要です。
2.予約時間の心配は無用。以後の予約は運営が取り消す
時間単位で決められているカーシェアリングでは事故が起きると返却時間を気にしてしまいますが、その心配は無用というか無意味でした。
その車の以降の予約はすべて運営会社がキャンセルし、車の貸し出しを停止すると伝えられたためです。タイムズではNOC(ノンオペレーションチャージ)と呼んでいますが言い換えれば営業不能損失に対する賠償金ということになります。これは下で詳しく説明します。
とにかく時間よりも正直な申告が第一で、返却時間を気にして無申告でその場を立ち去るのは論外ということです。
3.破損具合を問わず自走できなればペナルティは重い

タイムズのNOC約款。事故以外にも汚損や紛失など請求されるケースがあるので一読する必要があります。
ここでタイムズカーシェアの事故時におけるNOCを見ると自走可能なら2万円、自走不能なら5万円と分かれています。過失の有無や破損の程度、ステーションまでの距離は一切関係なくステーションに戻れるか否かが大きく左右します。
ちなみに事故以外でも返却場所の誤駐車、燃料の誤給油、車内の破損や汚損といったやりがちな失敗に関しても、修復作業や係員の出動を伴えばNOC2万円のほか修理費用実費請求も来ます。これ交通事故同様に要注意と言えます。
4.危険が及ばない限り脱出・帰還を諦めない
今回は4輪中左前方の1輪が側溝にはまってしまい身動きができなかったケースでしたが、上記の自走不能割増も知っていたし周囲にほかの交通も無かったことから、その辺の板をかませてみたりバックで急発進などを試みて10分ほどで無事脱出に成功しました。
自走不能になっていたら警察だけでなくレッカー業者も手配し、そこで手続きに時間を要したうえに、現場から自宅まで公共交通やタクシーなどを使って帰ることになるでしょう。
通報も大事ですが並行して脱出・ステーション帰還に向けての努力も必要です。ただし道路や車両の状態やほかの交通など周囲の状況を考慮し、危険が及ばない範囲でというのが大前提です。
5.正直な申告があれば規定通りのペナルティだけで済む
タイムズの車両では対人対物無制限の保険に加入しているため、今回は車両破損による実費負担はなくNOCが利用料金と共に請求されただけでした。勿論会員規約違反がないことが前提となります。

NOC請求事故でTCPが下がり会員ランクも落ちます。
タイムズでは会員の信用度を測るTCPプログラムという制度を導入しています。PPと呼ばれるポイントが一定以上貯まると会員ランクが上がり、早期予約や長期予約が有利になります。
給油や洗車をすればPPが上がり、急発進急停止がない利用でもPPが上がり、次回利用者が清掃状態を高評価すれば上がります。利用者全体の利益につながる行動を続ければ会員ランクが上がる仕組みです。
逆に返却期限の無断超過や交通事故、駐車違反をするとPPがマイナスされ会員ランクが下がります。つまり早期予約や長期予約に不利になるわけです。
PPが下がってしまった以上は自発的な給油や清掃、急の付く運転を避ける等小さな努力を延々と積み重ねて信頼度を回復させればいいのです。
6.但し2年以内の複数回事故は実費請求も
自家用車の事故の場合、車両破損は自己負担。車両保険に入っていても免責額を支払ったり、以降保険料値上げで結局金銭的負担が増える仕組みになっています。
反面タイムズの場合、会員規約を順守する限り金銭的負担はNOCのみで済みました。これだけ見れば変な話カーシェアリングは自家用車より事故時の負担が小さく見えてしまいます。
但し2年以内に複数回の有責事故を起こした場合会員資格の停止/取り消しや車両修理費実費請求があると記載があり、事故を起こしても大丈夫と言う考えは禁物です。
自家用車向けの車両保険でも短期間で複数回の保険金請求があると加入や継続ができなくなるケースもあり、この点は形はどうあれ自家用車でもレンタカー/カーシェアリングでも基本的に同じです。