JR赤羽駅で試験営業の無人コンビニが整理券配布の大行列に!相当な難産だがその期待も大きい
JR赤羽駅5・6番線ホーム上で2018年10月17日から完全無人キャッシュレス型店舗POP-UP STORE w/KINOKUNIYAがオープンしたので早速行ってみました。平日10~20時で2か月程度の試験営業を予定しているようです。
- 複数人入店や商品棚戻しにも対応した2度目の試験営業
- 最大定員3名なので入店待ちの大行列で整理券配布まで
- やっぱりレジトラブルは多い模様
- メリットは「いたって自然」に買い物ができる
- デメリットは品数・残高不足・スプーン取り忘れ
- 若い人特に高校生が多くそれだけ期待も大きい
1.複数人入店や商品棚戻しにも対応した2度目の試験営業

開業前に撮影した利用案内
JR東日本がsuicaを使用した無人キャッシュレス店舗の試験営業を行うのは二度目。前回は2017年11月に大宮駅コンコースで行われたようですが、一度に1人しか店内に入れないことや一度取った商品を商品棚に戻すことができないといった、小売店としてかなり致命的な課題があったようです。
今回は一度に入れる人数が3名(3組)までに拡大し、商品棚に戻せばレジでカウントされないといった、コンビニとして求められるより現実的な仕様が取り入れられています。3名(3組)という表現ですが親子連れ2名でも1組として認証できるシステムのようです。
入店及び決済にはsuicaやPASMOといった交通系ICカードが必要です。
2.最大定員3名なので入店待ちの大行列で整理券配布まで

初日から大混雑。利用の少ない湘南新宿ラインホームが選ばれた理由に納得。
事前のプレスリリースや報道もあってか平日にもかかわらずの盛況ぶり。ホーム上で長蛇の列は危険と判断されたのか階下コンコースに並んで整理券を貰うという無人化どころか逆に誘導員多数配置の大混雑でした。

階下コンコースに並んで整理券を貰ってから店へ。
とは言え入店までの待ち時間はトータルで10分ほど。週末のIKEAのようなアトラクション要素が高い施設に比べればかわいいものですが、日常的なコンビニとしては異例です。
係員の説明通り入口でsuicaをかざして入店、商品を取って出口のディスプレイで購入内容を確認してsuicaで支払うとレシートが出てゲートが開く仕組みです。使い方自体はとても簡単です。
NEWDAYSや一部のローソンが導入しているセルフレジに近いですが、商品のスキャンがないので早い反面購入内容の確認作業が必要です。いつも買う定番商品1つを買うだけならスピーディーで便利ですが、大量の買い出しには向かないです。その意味で駅ホームの売店というのは最適な立地だと思います。
3.やっぱりレジトラブルは多い模様

店内では撮影不可、外側からのみOKとのこと。手前がレジに相当する出口で購入品を確認できる液晶部分とレジ袋、異常時呼び出しボタンがある。
当日の利用客は自分を含め話題性に惹かれて来ているはずで、報道等で「予習」している人も多かったでしょう。ただそれでもレジを通過できないトラブルが頻発していました。
例えば親子連れ等2人グループも1組として入店可能としながらも高校生2人組が入って1人目がレジを終えると2人目が出られなくなるといったケース。ただゲート自体は横や下を潜り抜けることができる構造です(停電や火災など非常時を想定したと考えられます)。
またレジ通過時は商品を手に持っていても、備え付けの白色ビニール袋に入れても、自分のカバンにしまい込んでも良いわけですが、当然認証精度に違いが出るはずです。
こういったケースにより店内が2人以下でも入場制限がかかることがありそれが店外での行列につながったとも考えられます。
4.メリットは「いたって自然」に買い物ができる
この無人店舗のメリットは「商品を持って出るだけで買い物ができる」という単純さにあります。店舗は市中のコンビニ同様ガラス張りで中の商品も見えるので、欲しいものを見つけて入って出るといういたって自然な流れで商品が買えます。
入店と決済にはsuica等交通系ICカードが必要ですが、既にその普及率は高く個人情報の登録が不要のもの(券売機で購入や限定デザインなど)もあるので利用者のハードルは低いはずです。

AmazonGoは入って出るだけの買い物を謳っていて仕組みはシンプル。
米国シアトルやシカゴで展開するAmazonGoはAmazonアカウントと専用アプリのインストールが必要なことを考えると、会員登録もインターネット接続も不要な訳です。支払いもsuica残高から行うのでクレジットカードも不要です。
歩いていたらお店を見つけたので入って買い物してみるという、いたって原始的で初めての人にも優しい設計です。
5.デメリットは品数・残高不足・スプーン取り忘れ
話題性ゆえの行列と最新鋭ゆえのシステムエラー以外のデメリットを考えてみると以下の3つがあります。
①品数が少ない
商品は大きく分けてスナック、ベーカリー、飲み物、プリンの4種類。
市中のコンビニはもちろんホーム上売店と比べても圧倒的にジャンルから銘柄から在庫数までとにかく少ないのです。カメラ認証のためのスペースがあって商品を隙間なく陳列できないという技術的な問題もありますが、欲しいものがなければユーザーも買わないし品数を揃えられないのも経営的に勿体ないところです。
②残高の心配がある
キャッシュレスとは言えsuica残高は事前確認が必要です。
入店時にsuicaをかざすといってもこれは購入者の識別が目的であり残高は判りません。オートチャージもできないのでレジで残高不足になった場合、商品すべてを定位置に戻して出るしかありません。
③スプーンの取り忘れ
商品はスナック、ベーカリー、飲み物、プリンの4種類と言ったように、このうちプリンだけは商品棚備え付けのスプーンが必要です。ところが会計後は売り場に戻れない構造なので注意が必要です。店員が勝手に入れてくれる日本の従来型コンビニとは違います。
今のところ箸が必要な弁当類やストローが必要な紙パック飲料は販売されていないことや、世界的なストローやレジ袋等の廃棄物軽減の趨勢を考えると今後どのように変わるのか興味深い部分でもあります。
6.若い人特に高校生が多くそれだけ期待も大きい
平日の昼過ぎから夕方という時間帯の割に案外混雑していました。遅い時間にはサラリーマンが目立ちましたが、意外にも高校生をはじめとした若年層の割合が目立ちました。駅構内のecuteや駅周辺のお店に比べても明らかです。
確かにカメラ認証やAIレジはまだまだ発展途上の技術。価格も駅構内のNEWDAYSと変わらず品揃えは少ないし、初日の話題性もあり大行列。正直現時点ではユーザーにはメリットが無いお店です。
ただ就労人口もその割合も減少の一途をたどる現代では無人化や自動化はもう避けて通れない道です。JR東日本は30周年記念広告と採用情報において「次の当たり前をつくろう」のキャッチコピーを掲げていますが、入って出るだけの買い物もやがては当たり前になっていくのでしょう。