アメリカ渡航にあえてエアカナダを選ぶメリットとデメリットまとめ。
先日アメリカまで渡航したのですが、JALやANAといった日本の航空会社でもなく、ユナイテッド航空やデルタ航空といったアメリカの航空会社でもなく、エアカナダを利用しました。
勿論隣国カナダを経由することになるのですが、そのメリットとデメリットを紹介したいと思います。
- 日本線はほぼ全てプレミアムエコノミーがある
- 日本線は最前列と非常口以外座席指定無料
- 経由地カナダでアメリカの入国審査が受けられる
- 公式アプリは英語のみだが当日の案内が秀逸
- 入札制やチェックイン時のアップグレードも
- ×ESTAだけでなくeTAも必要になる
- ×季節運航が多く関西線も不透明
1.日本線はほぼ全てプレミアムエコノミーがある

左右共に独立した肘掛けや広いスペースが特徴。
エコノミークラスとビジネスクラスの中間にあたるプレミアムエコノミー。最近デルタ航空やユナイテッド航空も新型機製造を機に導入していますがまだまだ路線が限られます。
一方エアカナダは2013年にボーイング777-300ERでプレミアムエコノミーを導入し、その後新製したしたボーイング787にも導入しています。この2機種が日本線をほぼ担当しています。エコノミーも新型ディスプレイで電子機器充電用のUSBポートも完備しています。
ほぼ2機種と言うのは一部需要のない時期や成田~カルガリー線などごくまれにボーイング767-300ERやエアバスA330-300が入ることがあるようです。プレエコ未設置の767は近年退役予定なので新機材への統一は近いようです。
JALやANAのプレミアムエコノミーと比べるとビジネスクラスラウンジの利用ができない(カナダ国内やロサンゼルス、ニューヨーク(LGA/EWR)にあるエアカナダメープルリーフラウンジは利用可能)、受託手荷物の優先返却が無いなど物足りない部分もありますが、両社に比べ運賃も安いようです。
2.日本線は最前列と非常口以外座席指定無料
アメリカの航空会社ではエコノミークラスも前方席のピッチを広げ(デルタ航空のコンフォートプラスやユナイテッド航空のエコノミープラス等)この部分を有料化していることが多いです。その値段は日米路線で10000~20000円程度と、航空券が安くても広いスペースや機内食の優先配膳はオプションとして販売しているわけです。
参照:飛行機の座席指定が有料…実はLCC以外でも国際線では珍しくない。
一方その後方部分はメインキャビンと呼ばれることが多く、座席間隔も狭くなっています。同一機内で見れば有料のプラス席との格差があるのは合理的ですが、そういった制度のない他社と比べると見劣りするのも事実です。
これに対しエアカナダではそのような制度もなく、プリファードシートと呼ばれる最前列と非常口席以外は座席指定料金もありません。但し国内線や米加路線では搭乗/降機の早い前方数列がプリファードシートです。
3.経由地カナダでアメリカの入国審査が受けられる

バンクーバー国際空港の乗り継ぎ。星条旗の案内に従えば米国の入国審査へ進む。
当たり前ですが日本やアメリカの航空会社を利用するとアメリカ到着後に入国審査があります。規模の大きいロサンゼルスあたりでは時間もかかり、乗継便があれば尚更です。
ところがカナダはUS Preclearance(米国事前入国審査制度)対象国であり、経由地のバンクーバーやトロント等でアメリカの入国審査が受けられます。勿論カナダへの入国審査は不要ですし、米加路線は小型機なのでアメリカの空港に着いたらそこからがとにかく早いです。
とは言えバンクーバーでの入国審査も30分以上掛かりましたし、カナダ経由だから特別早いとか審査が緩いということはありません。
4.公式アプリは英語のみだが当日の案内が秀逸
搭乗24時間前からオンラインチェックインを受け付けるのですが、これはエアカナダ公式アプリが便利です。残念ながら英語版のみで日本語には対応していないのですが、比較的簡単な表現ばかりなので、難しくもありません。

アプリでの旅程案内。乗り継ぎ空港での手荷物回収、税関検査、保安検査は不要と書かれている。
出発ゲートや手荷物受取ターンテーブルの場所、乗り継ぎの場合保安検査が必要か否かまで分かります。空港での放送が聞き取れなくても問題ありません。
また飛行機の遅れやゲート変更などの通知もしてくれますし、変更後の出発予定時刻だけでなく現地到着予定時刻まで判るので予定があるときに便利。
予約番号と名前で予約情報を呼び出すので会員登録も不要。なおアプリでの航空券購入は米ドル/加ドル建てなのでお勧めできないです。
5.入札制やチェックイン時のアップグレードも
JALやANAの場合、上級クラスへのアップグレードは高額なフレックス運賃に限られる等、決して身近なものではありません。ところがエアカナダでは空席がある限り積極的にアップグレードを募っているようです。但し日本線の場合競争倍率は高い模様。
- エコノミーからプレエコ
- エコノミーからビジネス
- プレエコからビジネス
の全てに対応しています。

アップグレードは3種類あるが、中央のeアップグレードは前年のエアカナダ利用実績に応じて受けられるサービスなので、一般的には入札か直前を狙うことに。
1つはアップグレード入札。出発72時間前までに希望入札額と支払い用クレジットカードを登録し、当選すればアップグレードできますし、失敗しても料金は取られず予約便にそのまま乗れます。
もう1つがチェックイン時の定額でアップグレードを提案されるケース。ウェブやアプリ、空港端末でアップグレードができる場合があります。但し上記入札が多かったりそもそも予約が多い場合は提案されません。
6.×ESTAだけでなくeTAも必要になる
カナダを経由することのデメリットもあります。アメリカ渡航にはESTAと呼ばれる電子渡航認証が必要ですが、カナダ経由の場合カナダに入国しなくてもeTAと呼ばれるカナダ版電子渡航認証が併せて必要になります。
参照:カナダ入国・乗継ぎに必要なeTA取得は英語とフランス語のみ。高額な代行サイトの利用価値を考える。
7.×季節運航が多く関西線も不透明
日米の航空会社の場合、ほとんどの便が当たり前のように毎日通年運航していますが、エアカナダの場合夏季のみの季節運航や冬季減便も目立ちます。
年間を通して毎日運航しているのは羽田~トロント線と成田~バンクーバー線の2路線のみです。成田~カルガリー線は冬季運休だったり、成田~モントリオール線も冬季は週3便まで減便。
関西~バンクーバー線は子会社のエアカナダルージュが夏季のみ運行していましたが、2019年夏季からは本家エアカナダが運航することに。ルージュは2018年には中部~バンクーバー線も飛ばしていましたが結局撤退したようです。
つまり末永く定期的に利用するにはやや難ありと言わざるを得ないです。さらにカナダ航空二番手のウェストジェットも長距離線進出を計画しており、日本路線就航も噂されています。
エアカナダはANAやユナイテッド航空とマイレージ提携をしているので、渡米機会の多いANAマイラーが「たまには違うの乗ってみるか」程度で利用してみるのが一番なのかと思います。