suica/PASMO出場時もオートチャージ対応で気をつけたいこと。手動チャージが理想的?
2018年3月17日からsuica/PASMO発行事業者は、現在改札入場時のみ行っているオートチャージを改札出場時にもできるようにすると発表しました。
1.オートチャージ概説
オートチャージとは駅の改札機にタッチするときに一定残額(A)を下回ると一定額(B)を自動的に入金する方式です。オートチャージを利用できるのはsuica/PASMOが内蔵されたクレジットカード、それに紐付けしたsuica/PASMO/モバイルsuicaの4つです。なおsuica内蔵クレジットでPASMOにオートチャージ設定、及びその逆はできません。また本人名義のsuica/PASMOに限られ、他人名義のものや無記名のものにオートチャージ設定はできません。
一定残額(A)と一定額(B)はそれぞれ1000円単位でオートチャージ申し込み時、もしくはsuicaは「VIEW ALTTE」で、PASMOは駅窓口で、モバイルsuicaはアプリ内で設定変更できます。モバイルsuica以外は途中変更が面倒くさいのですが真の目的は改札機でストップしないことなので。
なお一定残額(A)を下回っていてもバス乗車やお店での買い物、ICカード他事業者(ICOCA、TOICAエリア等)の利用、新幹線での利用ではオートチャージされません。
2.1000円超えや定期超えで引っ掛かっていた
必要以上の額をオートチャージしないように額面を低めに設定している人も多いかと思います。たった1回200円の乗車に10000円もクレジットに請求されたくないという人もいます。
例えばオートチャージで一定残額(A)=1000円を下回ると一定額(B)=1000円チャージする設定だと、残額100円の場合、
- 大宮→鎌倉(JRのみ) 1414円
- 八王子→国際展示場(JR~りんかい線) 1128円
- 新橋→成田空港(都営~京成本線/途中改札なし) 1129円
等のように入場でオートチャージされても出場時不足して出られないケースがあります。毎月のように使うことは無くても、何かの機会で使うことにはなりそうな場合いちいちチャージする必要が出てきます。
また八王子~大崎のsuica定期券で八王子→国際展示場を利用すると、八王子入場は残額100円でもオートチャージされず、国際展示場出場では残額不足で引っ掛かることになります。
りんかい線や成田空港のように他社直通があるとさほど長距離でなくても1000円を超える機会は多く、入場が定期券エリア内だとオートチャージも効かない、この2つのケースで改札出場時にもオートチャージが必要とされたと考えられます。
勿論一定残額(A)を引き上げて10000円くらいにすれば改札で止まる可能性は限りなくゼロになりますが、それは鉄道会社に常に10000円無利子で貸しているようなもの。勿体無いです。
3.クレジット手動チャージは限定的?
一方オートチャージを利用せず手動(?)でチャージする方法もあります。一番分かりやすいのが改札機やコンビニのレジ等で現金チャージする方法ですが、クレジットチャージは限定的です。
suicaの場合「VIEW ALTTE」のみ、PASMOも2017年から東急電鉄一部駅にクイックチャージの名称でクレジットチャージ機が設置されましたが、オートチャージ設定済みPASMOのみ対応でありsuicaやオートチャージ未設定PASMOでは使えません。いずれにせよ限定的でありこれはクレジット会社のポイント付与やチャージ額の鉄道会社への配分などから共通化は難しそうです。
4.モバイルsuicaは都度チャージ可能
対照的にモバイルsuicaは都度チャージ可能ですし、オートチャージも設定/変更/解除がアプリ内でできてしまいます。オートチャージは登録クレジットカードがオートチャージに対応していることが条件です。
JR新橋駅のチャージ機。最近駅でもこのようにカードスロットルを置き台に換えてモバイルsuicaでも現金チャージに対応する機械が増えてきました。一方良く似た形状でも一部私鉄では「このICカードはご利用できません」と表示してモバイルsuicaのチャージを受け付けない機種もあります。
いずれにせよ対応している端末を持つという条件が付きますが、カード式のsuicaやPASMOよりはるかに便利です。
5.香港では1回だけ踏み倒せる
suicaやPASMO等多くの交通ICカードはソニーが開発したFeliCaというシステムが基礎になっています。このFeliCaを世界で最初に導入したのはsuicaではなく香港の八達通で1997年に導入されています。
この八達通は購入時に50HKD(≒700円)のデポジットが必要ですが、交通機関の利用や買い物等で残額が不足した場合1回まで、かつ50HKDまでであればデポジットから払うことになり改札やレジを通過できる仕組みです。例えば残額3HKDでバスに乗って4HKD払うと残額が-1HKDとなり、これに100HKDチャージすると残額は99HKDになるわけです。
改札やレジで人の流れを止めないという意味では画期的だと思います。日本のsuicaやPASMOはクレジット一体型やモバイル以外500円のデポジットが入っているのだからできないことはないだろうけど、500円で乗れる回数や金融に関する法令の絡みで難しいのかもしれません。