【エコノミーの倍額以上】プレミアムエコノミーの価値を考える。マイラーと一人旅には最適。
一部長距離国際線で見られるエコノミークラスとビジネスクラスの中間クラスにあたるプレミアムエコノミークラス。とは言え年々豪華になるビジネスクラスに比べれば華やかさは遠く及ばず、エコノミークラスに比べるとかなり高額です。
1.欧米線で20~30万と経済的ではない
最近はJALやANAが東南アジア線やハワイ線でも導入し始めたとは言え、プレミアムエコノミークラスの総額運賃は日本から北米、ヨーロッパ、オセアニア往復で20万円から30万円が相場です。10万円前後のエコノミークラスと比べるとちっとも経済的ではありません。
特にヨーロッパ方面は東南アジアや中東の航空会社がビジネスクラスをそれに近い値段で売っているケースもあり、時間帯の問題があるとはいえ「豪華」でも「お買い得」でもありません。
ビジネスクラスは長距離線では各社とも睡眠に適したフルフラットシートが常識化しており、快適性では格段の差があるのも事実です。
2.大型機でもたった20~30席しかない理由
300席級のボーイング777-300ERでも、250席級のボーイング787-9でも、プレミアムエコノミークラスは3列程度で21席~28席程度しかありません。ビジネスクラスは40~60席用意されており、それよりも少ないことになります。
実際にプレミアムエコノミーに乗ってみて解ったのですが、機内では座席以外でも差別化が図られています。
- 広い頭上収納
- ウェルカムドリンク
- 離陸前の機内食オーダー受付
- カートを使わず通路をふさがない機内食配膳
- トイレやギャレーが近い
このように「人口密度が低いゆえのメリット」とそれゆえの「手の込んだ人的サービス」が目立ちます。この点はビジネスクラスに近いものです。専有スペースではビジネスクラスに遠く及ばないとはいえ、特に人的サービスは席数が少ないからこそ成せるものと言えます。
3.「マイルが100%貯まる」を活かせるか
プレミアムエコノミーのもう一つの特徴としてフライトマイルがたくさん貯まることです。多くのマイレージプログラムでは提携他社含め、エコノミークラスでは区間マイルの30~50%程度しかたまらないことが多く、セール運賃では積算対象外という場合さえあります。
一方、プレミアムエコノミーでは多くの運賃・航空会社・マイレージプログラムで区間マイルの100%が獲得できます。ビジネスクラスでは125%が標準のようです。アメリカの航空会社のマイレージプログラムのように距離ではなく支払額ベースで貯まるケースもありますが、いずれにせよエコノミークラスの2倍以上のマイルが貰えることになります。
マイレージは会員へのオマケに過ぎませんが、これを意識的にためている利用者に限って言えば、プレミアムエコノミーは価格相応のメリットが得られる有効な選択肢に入ると言えそうです。
4.適度な距離感が一人旅には最適

エアカナダのボーイング787プレミアムエコノミークラス。枕の大きさからエコノミークラスとの違いが実感できます。

同じくエアカナダのボーイング787エコノミークラス。同じ3人掛けでも肘掛けの厚さや前後間隔は大きく違います。
エコノミークラスに比べるとボーイング777の場合横9or10列→横8列、ボーイング787の場合横9列→7列と、プレミアムエコノミーでは横方向に1~2席少ないこともあり隣人と距離を置けます。前後間隔も20センチほど広くなります。
- 前後は足を組める程度に広くなる
- 左右は肘掛け争奪戦とも無縁
隣にどんな人が乗ってくるか分からない長距離国際線では特に単身での利用なら大きなメリットと言えます。一方家族連れなどグループでの利用の場合、一緒に座れるなら2倍もの運賃差を説明できるほどのメリットにはならないでしょう。
5.「リクライニング問題」が伴う上級者向き
座席を倒すと後方の乗客のスペースが狭くなるリクライニング問題。エコノミークラスの場合元々傾斜角度が小さく前後間隔も狭いこと、さらにリクライニングを使わない乗客も一定数居ます。
一方ビジネスクラスでは前後間隔が広く、前後に衝立のあるバックシェル型が一般的であることからも問題になりません。
これがプレミアムエコノミーではリクライニング角度が広いことから結構後方に倒れます。そしてエコノミーより高額であることから皆当然のように倒します。そこで何が問題かと言うと、前席がリクライニングするとテーブルの出し入れが一切できなくなるのです。

エバー航空ボーイング777のエリートクラス(日本線ではエコノミークラスの扱い)。足も組めて飲み物も置ける広さ。
したがってミールサービス時は座席を起こす、消灯時はテーブルを広げないといった暗黙のルールがあるの確かです。幸いにして肘掛け周辺や前方ポケットなど収納は豊富で、飲み物の置き場やモバイル端末の充電や使用にも不自由はありません。
この辺もプレミアムエコノミーは旅慣れた人向けと言えそうです。但し、少数ながらJALやエールフランスのように後方に倒れこまないバックシェル型のシートを採用する例もあるようです。