モバイルPASMOは私鉄やバス利用に有利。但しモバイルSuica併用できるのはわずか6機種。
2020年3月18日Androidスマートフォン対応のモバイルPASMOが正式リリースされました。Android版のみでモバイルSuicaやGoogle PayのSuicaと見事にバッティングする対応端末でどのように棲み分けるかが注目されていました。
- 動作環境はモバイルSuicaとほぼ同じ
- モバイルSuica併用はXperia、Pixel等6機種のみ
- バス定期券機能とバス特ポイント表示が新規追加
- 個人情報登録が任意(紛失再発行や退会返金不可)
- 多くのクレジットカードで都度チャージ可能
- 定期券窓口混雑緩和が狙い?
- 併用不可なら先駆者モバイルSuicaが優勢
1.動作環境はモバイルSuicaとほぼ同じ
動作環境はAndroid6.0移行のOSかつおサイフケータイ対応のスマートフォンでモバイルPASMOアプリをインストールする必要があります。
モバイルSuicaでは公式ページの対応機種一覧が公表されていますが、モバイルPASMOでも対応機種一覧が発表されました。但し、後述するように多くの端末がモバイルSuicaかモバイルPASMOいずれか一方のみインストール可能とされるようです。
2.モバイルSuica併用はXperia、Pixel等6機種のみ
そうなれば既存のモバイルSuicaユーザーには新たなメリットは無いように思えますが、一番驚いたのが同一端末でモバイルSuicaとモバイルPASMOが併用可能ということです。
但し併用可能なのはソニーのXperiaシリーズ、Google Pixel 4/4L等僅か6機種のみ。ミドルレンジのXperiaZ系列やシャープのAQUOSシリーズ、富士通のarrowsシリーズは対応していません。モバイルSuicaだけでほぼニーズをカバーできていることから今後価格帯が下の機種も併用可能になるかは注目したいところです。
3.バス定期券機能とバス特ポイント表示が新規追加
カード式では一部事業者で始まっているバス定期券もモバイルPASMOなら発行可能です。もちろん鉄道定期券と同一のPASMOに収めることが可能です。

バス特ポイントは月間バス利用額に応じて自動還元される。登録不要かつ自動還元なので知らぬ間に還元されていることが多かった。
また首都圏の多くのバス事業者が既に実施しているSuica/PASMOでの「バス特ポイント」も画面で視覚化されます。既存のSuica/PASMOでは登録不要&自動還元なのでバス車内での支払い時に画面と音声で確認するしか方法が無かったのですが、モバイルPASMOではポイントの有無を画面で確認できるようです。
4.個人情報登録が任意(紛失再発行や退会返金不可)
モバイルPASMOは大きく分けて3種類の作成方法があります。
- 会員登録あり(クレジットカード登録あり)
- 会員登録あり(クレジットカード登録なし)
- 会員登録なし
モバイルSuicaや近年のQRコード決済等とは異なり会員登録が任意であり、氏名や生年月日等の個人情報を載せないで発行することもできます。但し会員登録がない場合、退会による払い戻しや紛失時再発行ができなくなります。
5.多くのクレジットカードで都度チャージ可能
クレジットカードを登録すればオンラインチャージも可能で、駅に行かずともリアルタイムで残高確認やチャージができます。これはカード式にはない便利な点です。
また改札通過時のオートチャージ対応のクレジットカードを登録すればモバイルPASMOでもオートチャージが可能になります。
クレジットカード登録しなくても駅チャージ機等で現金チャージが可能です。
参照:セブン銀行ATMでSuica等交通ICカードがチャージ可能に!その背景を考える。
6.定期券窓口混雑緩和が狙い?
既にモバイルSuicaに10年以上遅れを取って今更ながらモバイルPASMOが登場した背景の一つは定期券窓口の混雑緩和対策と思われます。
通勤定期券は券売機での発売ができる鉄道事業者が多い一方、通学定期券は学籍確認のために窓口に限定されるケースが多く、特に新年度の3月4月は窓口に長蛇の列ができる傾向にあります。
特にバス定期券は営業所での発売に限られることが多く、モバイルPASMOの導入はバス事業者には大きな省力化が期待できます。
国内スマートフォン市場でシェアの高いiPhoneには現時点では対応していないことや、学生でクレジットカードがないと通学定期券が発行できない等、今後の課題もありますがモバイルPASMOはバス利用者や私鉄定期券利用者の流れを大きく変えそうです。
7.併用不可なら先駆者モバイルSuicaが優勢
一方でXperiaやGoogle Pixel以外のAndroid端末では既に利用可能なモバイルSuicaで私鉄定期券やバス定期券以外の機能は十分カバーできているので、今後モバイルPASMOの普及もかなり限定的になるのではとの見方もあります。
モバイルSuicaはビューカードでのチャージが高還元であり、JR東日本乗車でもポイントを付与するなどPASMO等よりも優位なサービスを拡充しています。ビューカード以外を登録した場合に必要だった年会費も廃止しています。
参照:JRE POINTが遂に陸のマイルに。乗車でもポイントを貯めて特典乗車券でグランクラスに?
参照:モバイルSuica使うならビックカメラSuicaカード。関西住まいでも鉄オタじゃなくてもメリットしかない
対するモバイルPASMOに関してはカード式含めポイント制度を導入する鉄道事業者が少なく、東急カードやToMeCARDなど鉄道会社独自の乗車ポイントをモバイルPASMOでも付与するかという発表も今のところありません。
私鉄やバスの定期券をモバイル端末で一体化する場合を除けば、わざわざモバイルSuicaから乗り換える必要は無さそうです。