羽田モノレールの車体色がばらばらな理由を考えてみた。復刻塗装からグラデーションまで
羽田空港から浜松町に向かう東京モノレールでは近年カラフルな車両が出ていますが、古い色から新しい色に交替するというような単なるイメチェンではなさそうです。
1.山手線は黄緑。丸の内線は赤・・・
ほとんどの東京近郊の電車は路線毎にカラーリングが分けられ、電車の色から駅や路線図での表示にいたるまで徹底されています。地下鉄では地方でも見られる取り組みですが、JRや東急、京王などでも路線毎に色分けされています。
これに対し東京モノレールは車体や路線図でもテーマカラーが決まっていたわけではありません。厳密には10年に1度くらいの頻度で模様替えをしていましたが、こういうのは他では東武鉄道くらい、しかも新車のみで従来車の塗り替えまでは徹底していません。
2.2014年に新車と復刻塗装そして国際線
決め手になった年が開業50周年を迎えた2014年。新形式10000型が青と水色のグラデーションカラーで登場しました。編成中央と両端で色が違う、他の電車では見られない配色です。
一方時期を同じくして従来車も往年の歴代復刻塗装が施され、これは1970~80年代のカラーリングです。当時は羽田空港の需要が今ほどなかったことからある人には懐かしく、ある人には京急にも見えたり万人に馴染む色とも言えません。
3.2015年には従来車も別の塗装に
そして2015年には黄緑+水色+青色というパターンも登場。これは既に何編成かに塗装されていますがカラーパターンは10000型とは異なっています。
さらに多くの乗客が見ることのない屋根上まで塗装されているのがポイントです。上の赤い車両も屋根まで塗られ、10000型も写真では分かりにくいですが東京モノレールのロゴマークが各社屋根に付いています。
4.到着機内からも見えるカラーリングに
ここまで最近の東京モノレールが独自の目立ったカラーリングを採用するようになった背景は東京以外の地方や海外からの需要を取り込むためと考えられます。
空港アクセス鉄道は地下を通るものが多いですが、幸いにして東京モノレールは国際線ターミナル付近や整備場付近で地上しかも駐機場やターミナルの前を走行するので、着陸した飛行機からでも見ることができます。だったら線1本よりもブロックパターンやグラデーションで目立ったほうが、「空港からはあれに乗ればいい」と視覚的にアピールできます。
特に2014年は国際線の日中発着便が大幅に増えた年で、外国人となれば文字よりも色のほうが尚更インパクトは大きいはずです。
もちろん軌道に防音や転落防止の柵が無いために外から走っているのが目立つというモノレール特有の環境が奏功しているのも確かで、浜松町近辺のビルや首都高速からもよく見えるので視覚効果も都心の普通の鉄道より大きいはずです。
ライバルに当たる京急が接点のない東武や小田急に車内広告を出したり、西武や鹿児島市電に「京急カラー」が登場したり、地方空港でもモノレールより目立った形の券売機を置いたりと、外部への積極的な広告投資をしているのとは対照的です。