燃油サーチャージって何?不要という会社に限って別のものが必要(汗)
JALやANAが2018年2月以降の燃油サーチャージの値上げを発表しました。このニュース、定期的に聞くという人も多いと思いますがどういう仕組みで行われているかご存知でしょうか?
1.業界のルールを決めるIATA
国際航空運送協会(IATA)は世界の航空会社が加盟する業界団体であり、航空業界の安全性や運賃支払等についてのルールを決める機関でもあります。古くは安全性や経営の健全性を目的に国際線運賃の低価格競争を抑える動きが目立ったのですが、これがカルテルと非難されたこともあり、1970年代以降は徐々に低価格化を容認する傾向にありました。
ただ新興航空会社を中心にIATAに加盟していない航空会社もありますが、当然運航国の法規には従っているわけで、IATA未加盟だから直ちに危険だとか悪いという意味ではありません。
2.運賃改定が原油価格に追いつかなくなった
航空運賃は多くの国で監督官庁への届出が必要である等安易な変更ができない仕組みであることが多いのですが、1990年代の湾岸戦争以降は原油価格が急激に値上がりし、運賃改定手続きが追いつかない、あるいは航空会社の経営努力では追いつかない次元まで急騰してしまいます。
このため、1997年にIATAが加盟航空会社に対し運賃とは別に原油価格変動に応じた賦課金(サーチャージ)を設定してもよいと認可します。
2000年代後半には欧米線で80000円とか、運賃本体よりサーチャージのほうが高いのではと思うほど高騰しました。一方で原油価格が想定よりも下がれば燃油サーチャージ0円の航空会社や路線も出てくるわけで、2016年頃はこれが結構目立ちました。
3.サーチャージが必要な時期
この制度を使うかは航空会社の判断ですが、採用する場合2ヶ月に1回見直すことになります。原油価格に応じて増減しますから、ガソリンスタンドの価格変動に近いものがあります。
ではいつのものが適用されるかといえば発券時期です。
- 往路:2月26日 羽田→香港
- 復路:3月10日 香港→羽田
例えば1月20日に上記の国際線航空券を買った場合、燃油サーチャージは搭乗日とは関係なく購入日である1月のものが適用されます。
のちに帰国便を4月1日に変更したとしても燃油サーチャージは追加徴収も差額返還もされません。
4.旅行会社は不要?
これ勘違いされることが多いのですが、旅行会社でも航空券単体、あるいはホテルとの組み合わせでは航空会社と同様のサーチャージを徴収しています。
例えばJTBの国際線航空券の案内。右下に注意書きがあるようにこの金額に燃油サーチャージは入っていません。目安ですが千円以下が~000円で終わっているものは別途必要と見たほうが良いです。
一方で出発から帰国までの行程が決まった募集型企画旅行(パッケージツアー)の場合は発売日や出発日ごとに値段を変えているケースが多く、燃油サーチャージもこれに含んでいます。燃油サーチャージ込み/含むという表記がされます。但し諸税は別途必要です。
参考:航空券の諸税って何?
5.「燃油サーチャージ不要」に注意
一部のLCCに多いのですが燃油サーチャージ不要という表記には注意です。不要という航空会社に限って結局その価格とは別に諸税や手数料が上乗せされてくることが多いです。そもそもそういう航空会社は燃油サーチャージという制度自体最初から導入していません。ただLCCなので最終的には安く仕上がることが多いです。
長距離線ではニュージーランド航空やカタール航空が数少ない総額表示をしており、燃油サーチャージという表現は広告にも明細にも一切出てきません。
6.国内線でも必要?
国際線で燃油サーチャージを導入するJALやANAも国内線では不要です。
唯一の例外でフジドリームエアラインズでは国内線ながら燃油サーチャージを導入しており、時期や路線によって数百円上乗せされることがあります。
1件の返信
[…] 前回は燃油サーチャージの話をしましたが、それに続く諸税等について解説します。多くの航空券や旅行商品の広告にはこの諸税等が含まれていないため、海外旅行っていくら掛かるのか分かりにくいと思われてしまいがちです。 […]