オートチャージはデメリットだらけの悪魔の仕掛け。毎日かざしてると勝手にお金を毟り取られ続ける悪魔の仕掛けです。
クレジットカード一体型のsuicaやPASMOに付帯されているオートチャージ機能。便利と言う声も聞きますが自分は否定派、ユーザーにはメリットよりもデメリットのほうが大きいです。
- オートチャージの利用者メリットは1つだけ
- オートチャージなら乗客がスムーズに流れてくれる
- オートチャージなら券売機も改札機もメンテナンスが要らない
- オートチャージなら系列カードの決済額が増えてくれる
- 私がモバイルsuicaを愛用する最大の理由
- 実質解約するまで元金は戻らない。延々積み増しされるのみ
- オートチャージを変更・解約する方法が解りにくい
1.オートチャージの利用者メリットは1つだけ
オートチャージの利用者側のメリットは「残高不足の時でも自分でチャージする必要がない」という点だけです。逆の言い方をすればチャージしなくても済む時であっても、意図せず必要以上の金額が勝手にチャージ(課金)される可能性が出てくるということです。
細かく説明すると、例えば週に1度JR高崎線で上尾~新宿(IC運賃669円)を往復する人が
①suica残額5000円の場合
往路も復路もそのまま通過できます。残額は3662円です。翌週も大丈夫で、4週目の復路上尾駅を出る時に引っ掛かります。(317円不足)
②suica残額1000円の場合
往路はそのまま通過できますが復路の上尾駅改札を出る時に引っ掛かり、精算機でチャージする必要があります。ここで1000円チャージすると残額は662円。翌週往路新宿駅改札を出る時にまた引っ掛かります。
③2000円以下で3000円オートチャージ設定で残額0円の場合
これは私鉄系PASMO付帯クレジットカードに多い初期設定です。往路上尾駅でまず3000円オートチャージされ、帰り上尾駅を出る時に1662円→4662円と再度3000円チャージ。実質1300円程しか使っていないのにたった1日で6000円もクレジット請求が出来上がる仕組みです。

東急カードや東京メトロToMeCARD、京王パスポートカード、小田急OPクレジット等多くがこの初期設定です。往復1000円を越える利用の場合、文字通り往復ビンタで6000円チャージされる酷い設定。
もちろんチャージした額は後日使うことができるとはいえ、必要額以上のクレジット請求が出来上がるのは利用者には不利な仕組みです。但しオートチャージにはsuica、PASMOともに1日10000円、1ヶ月50000円の上限があります。
2.オートチャージなら乗客がスムーズに流れてくれる
一方鉄道事業者にとってはオートチャージのメリットはたくさんあります。混雑する駅ではひっきりなしに電車の発着があり、それに従って大量の人の流れがあります。
特に出口改札では残高不足で引っ掛かると後続の人が詰まって危険です。さらに出口が詰まるとその手前の階段が危険です。さらに混雑がホームにまで溢れかえれば列車の運行にも支障をきたします。ある種の安全対策にも繋がっていると考えられます。
改札で引っ掛かるまで行かなくても、券売機や精算機の利用が減ればそこに並ぶ人も減ります。
3.オートチャージなら券売機も改札機もメンテナンスが要らない
どこの駅でもICカード専用の改札機が増えていると思いませんか?しかも改札中央部に。
紙のきっぷを吸い込んで回収する機能は定期的にきっぷの回収、センサーやベルトのクリーニングが必要で、その度に係員が乗客の列を潜り抜けて作業を行います。
オートチャージがあれば改札機が切符の販売や売上金の回収を代行してくれるようなもの。券売機自体の台数も減らせるし釣銭や保管売上金も最小限で済みます。
券売機や精算機も同様できっぷ台紙や釣銭の回収・補充を定期的に行います。この間券売機は使えないのでやっぱり乗客の流れは悪くなります。
4.オートチャージなら系列カードの決済額が増えてくれる
鉄道系クレジットカードの中にはVIEWカードや東急カードのように鉄道会社が子会社を通じて実質直接発行しているカードと、東京メトロToMeCARD(ジェーシービー、UFJニコス、クレディセゾンが発行)のようにクレジットカード会社が発行しているカードがあります。
いずれにせよクレジットカードの発行枚数や決済額が増えれば加盟店手数料や広告収入が入ることになります。
クレジットカード自体、一度入会してもらえば退会しない限り毎年延々と年会費を徴収できますし、オートチャージならサインも暗証番号も不要で通路を抜ける感覚で決済が進みます。
一方でJRは券売機や売店でもsuicaと並行してクレジット決済対応が進んでいますが、地下鉄や私鉄ではクレジット決済にほとんど対応していない現実もあります。したがって私鉄系クレジットカードはPASMOオートチャージは重要な手段なのです。
5.私がモバイルsuicaを愛用する最大の理由
一方モバイルsuicaであればオートチャージを設定することも可能ですが(VIEWカード登録時のみ)そうでなくてもアプリ内で必要額だけを「マニュアルチャージ」できます。Google Pay suicaはもっと親切で、オートチャージの替わりに残額が少ないと通知を受けることもできます。
参照:【祝】Google Payでsuicaが利用可能に!モバイルsuicaとどっちが便利?→どっちも併用可能!
手元でチャージだけでなく残額やオートチャージ設定の確認もできます。これはカード式では不可能なモバイル端末ならではのメリットです。
- モバイルsuica=どこでもチャージや設定変更ができる
- カード式suica=設定変更はVIEW ALTTEに行く必要がある
- PASMO=設定変更はPASMO取扱駅に行く(JR駅ではできない)
この違いは結構大きいです。私鉄の利用が多いsuicaユーザーや関西・九州・北海道等でも利用するsuica/PASMOユーザーの場合大きく差が付きます。
6.実質解約するまで元金は戻らない。延々積み増しされるのみ
先程の例で2000円以下でオートチャージする設定があると、残額が2000円を切ることは実質なくなります。実質と言うのは、
- 店舗や自販機での利用
- 路線バスでの利用
- 入場時オートチャージされても出場時残高不足
- 関西や九州等オートチャージ非対応エリア
- 1日1万円、月5万円の上限超え
といったケースで残額が2000円を下回ることはあります。上2つはその後改札を通過するとオートチャージされますが、下3つはかなりまれなケースです。
要はこの2000円はオートチャージあるいはクレジットカード自体を解約しない限り、永久に人質に取られることになるわけです。預金や金融商品のように長期保有で金利や分配金が貰える訳でもありません。
加えて多くのカードは毎年年会費も掛かります。これも解約しない限り取られ続けるので、年会費無料のカードや、有料でも各種保険等付帯サービスの充実したカードに比べればデメリットになることが多いです。
7.オートチャージを変更・解約する方法が解りにくい
何よりオートチャージはクレジットカード申し込み時に設定することがある反面、変更や解約の方法はあまり知られていません。
suicaの場合駅のATM「VIEW ALTTE」で設定・変更・解除ができます。東京近郊であれば主要駅はもちろん、比較的小さい駅でも設置されていることがあり場所には困らないでしょう。
仙台エリアや新潟エリアはsuica利用可能駅が多い割にVIEW ALTTEは新幹線停車駅に限られ、オートチャージの変更や解約のためにわざわざ出掛ける不便がありそうです。
PASMOの場合かなり複雑で、鉄道会社・駅・クレジットカード発行会社によって対応が異なるのです。東京メトロのように多機能券売機がほとんどの駅で普及しているところもあれば、定期券うりばで対応とする鉄道会社もあります。定期券うりばは夜間や休日等営業していないケースもあります。

メトロポイントをANAマイルに換えることで人気のソラチカカードですがオートチャージを解約できない呪いのカードでもあります。
中でも株式会社ジェーシービーが発行するToMeCARDのようにオートチャージが解約できないカードもあります。設定金額変更は東京メトロ等の多機能券売機で可能ですが、オートチャージの解約はカード自体の退会しかありません。
結論、オートチャージに大量の乗客の流れを円滑化するメリットは理解できますが、それ以上に利用者側の金銭的デメリットが大きいのです。多くの私鉄が百貨店や定期券以外にクレジット決済を普及させないことも、私鉄系クレジットカードの価値低下に一役買っており、オートチャージ普及に走らざるを得ない悪循環も見て取れます。
利用者の視点ではオートチャージは使わないほうが懸命です。