またニュージーランド航空か!最近ぶっ飛んでる安全ビデオを作る航空会社が増えた理由。
旅客機では出発前に注意事項や緊急時の対応等を乗客に知らせるために、特に液晶スクリーンを備えた大型機では説明用動画を流しています。ただの「説明」に過ぎないのですが、最近はエンターテイメント要素を強めた「神動画」を作る航空会社が増えてきました。
1.ニュージーランド航空は一躍有名に
2018年3月にニュージーランド航空が安全ビデオの新作「世界でもっともクールな大陸」を発表しました。同社はこれまでにも毎年のように空想旅行編や新作水着ショー編、ハリウッドやオールブラックスとのコラボ等々の「ぶっ飛んだ」安全ビデオで注目されてきました。
同社がここまで安全ビデオに力を入れるのは人口が少なく、観光以外に産業が乏しいのにアジア・北米・ヨーロッパどこからも遠いニュージーランドの地理的背景があるようです。
地域の魅力PRも兼ねた映像の作り方はニュージーランド航空だけでなく近年シンガポール航空やフィリピン航空でも見られる傾向です。
2.エールフランスはアイドルのMV風?
2014年に刷新されたエールフランスの安全ビデオ。最近BGMが変わって再アップロードされています。(日本含め)外国から見たフランスってこんなもんだろというイメージ通りの、振り付けや小道具がアイドル的で見ていて面白いです。
3.世界各地の特徴を出すユナイテッド航空
ユナイテッド航空ではCMで度々採用されたラプソディー・イン・ブルーをブラジル、ドイツ、インド、中国風にアレンジしたもの。
コンピューター大国、エンターテイメント大国の面目躍如。アメリカの航空会社は各社こぞって面白い安全ビデオを出しまくっています。
4.日本代表はスターフライヤー
日本の航空会社ではスターフライヤーが有名。初代フライヤー忍者、2代目ジャズラウンジ、3代目スターフライヤーマンと進化を遂げていますが2代目が一番ヒネリが効いてると思います。
5.YouTubeで「注意書き」が「広告」に
ここまで各社こぞって印象的な「神動画」製作に躍起になっているのはいくつか理由があります。
①言語や文字だけより印象的
特に国際線では顕著ですが、全ての乗客がより理解するためには言語や文字より図やアニメーションを交えた方が伝わりやすいということです。多少はジョークを交えたほうが注目度が高いとも言えます。
②新興国発の需要が増えた
経済成長や外交政策からこれまで海外渡航が一般的でなかった中国、東南アジア、ロシア、東欧などから出発する需要が増えたことは、飛行機や英語に不慣れな乗客が増えたことを意味します。そうなれば尚更上記①の必要性が上がると言えそうです。
ここで挙げた例ではユナイテッド航空やエールフランスは新興国発の需要を視野に入れているように見えます。
③YouTubeで全世界に広告できる
これまで挙げた動画はYouTube公式チャンネルで公開されたものです。それまで飛行機に乗らないと見れなかった安全ビデオを、誰でも場所時間を問わず見られるように。そしてインターネットを使った広告も一般的になり、乗客獲得のツールになっています。
先の例では長距離かつ決して多くない需要を取り込むニュージーランド航空や、成熟市場である国内線での後発組にあたるスターフライヤーでは顕著と言えます。